外国人の法律相談や難民事件を出発点に、相談・事件の現場で見えてきた課題を、制度への意見や人権救済、弁護士会を支える活動へつなげてきました。市川正司の原稿「弁護士会での活動を振り返って」に記された歩みを、6つの分野から紹介します。
外国人相談・難民支援
1989年に弁護士となり、第一東京弁護士会の若手を中心とする外国人法律相談の立ち上げに参加。通訳・研究者と協力し、相談体制の整備と書籍『外国人の法律相談』の出版に携わりました。
在留資格の更新をめぐる行政訴訟での勝訴や、クルド難民の弁護団活動にも取り組みました。弁護団、生活を支援する人、通訳がチームとなり、互いに励まし合いながら事件に向き合った経験が、活動の土台になっています。
入管法制と権利保障
相談・事件で見えた入管手続の問題を、日弁連の意見書や法務省との意見交換へつなげてきました。2004年と2009年の法改正の衆議院法務委員会審議では、日弁連推薦の参考人として意見を述べています。
初代の難民審査参与員の一人として、ヒアリングと意見書の起案に従事。外国人の受入れ・共生や技能実習・特定技能をめぐる制度検討にも携わり、日々の事件の現場で制度の問題に向き合う弁護士の声を、法制度の議論に反映する役割を担ってきました。
人権擁護と人権救済
日弁連人権擁護委員会で副委員長を12年間、委員長を2年間務め、人権擁護大会の運営、声明・意見書・人権救済勧告書の起案などに携わりました。2014・2015年度には、人権擁護委員長と人権擁護大会運営委員長を務めています。
障害者の差別禁止、独立した人権機関の創設、市民の自由と監視社会、再審事件の支援などに取り組みました。人権救済の方法や個人の尊厳を守る制度に通じる課題を重視し、委員長時代には再審事件弁護団への財政的支援の拡大にも携わりました。
放送の人権と市民による難民支援
2012年から9年間、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会委員を務めました。取材対象者などの人権と、政府からの放送の自立という双方の視点から、第三者委員会の仕事に取り組んできました。
国連UNHCR協会では、理事として民間部門からの難民支援や、難民支援の政策を市民に理解してもらう活動に携わりました。難民支援協会についても、設立当時からその活動を支援してきました。
法曹養成・地域の司法
2020・2021年度、日弁連法曹人口検証本部の事務局長を務めました。資料収集、ヒアリング、各弁護士会や委員会への意見照会を重ね、2022年3月の検証結果の取りまとめに携わりました。
立場の異なる意見を十分に聴き、取りまとめ案や修文案を作成し、承認に至る過程を大切にしてきました。地方単位会での新規登録弁護士ゼロワン問題、学生との交流や短期エクスターンシップ、修習費用をめぐる谷間世代の課題にも取り組んでいます。
多文化共生
外国人を受け入れる制度の検討と、受け入れた人たちとの共生社会づくりに関わってきました。個々の相談と社会全体の仕組みをつなぐことは、外国人の法律相談から続く課題です。
2026年度、日弁連の多文化共生社会のためのワーキンググループ座長となりました。原稿では、各地域の多文化共生に向けた調査・提言や、一元的な相談窓口と弁護士との連携に取り組むことが記されています。
このページは、市川正司の原稿「弁護士会での活動を振り返って」をもとに、サイト向けに構成・編集したものです。
